南瓜野郎と南瓜に目鼻
「ふふっ!大成功だったね!スペクター!!」
「ああ!!面白かったな!!」
「敵を掃除したのは、殆ど俺たちだけどな」
任務は終わりエレベーターの中。○○とスペクターは喜び、チームの一員であるベクターは悪態をつく。
任務は大成功を収めた。結局、○○もスペクターも、自分たちが罵倒したU.B.C.Sの兵士を殺しはしなかった。○○は鉄箒の柄で兵士を殴って気絶させ、スペクターは閃光手榴弾を投げだだけだった。女兵士はそれで倒れてしまったが、ちゃんと息をしているのを確認している。
「さて、任務も早く終わったことだし、街に行くか!まだハロウィンは終わってないはずだ」
「うんっ!!」
○○とスペクターはずっと前からしていた、「一緒にハロウィンで賑わう街を見に行こう」という約束を実行しようと笑い合う。
あと少しでエレベーターが開き、U.S.S.の見慣れた景色が広がろうとしている。
「あっ!!!」
フード付きのロングコートの裾をふんずけてしまい、「ドターン!」という擬態語が相応しい程に盛大に転んでしまった○○。その拍子に、鉄箒を背負うための紐が切れてしまった。
「うぉっ!!!」
勢いよく正面に飛んだ鉄箒は、スペクターの鼻すれすれを飛んで行った。そして、避けた瞬間、スペクターの閃光手榴弾のピンがベルトウェイの装備に引っかかって取れてしまった。
エレベーターが開くのと同時に、オレンジ・紫・黒の光の中が広がる。一名は転んだまま、一名は残りの手榴弾のピンが引っかからないように避けた姿勢のまま、他の数名は眩しそうに目元を覆ったり、よろよろと変な動きをしている。そして、鉄箒はエレベーターのドアが開いたのと同時に廊下に飛んで行ってしまった。通りかかった他のU.S.S.隊員が短く悲鳴を上げた。異様なチームの異様な帰還である。
○○とスペクターは菓子を持ってハロウィンで賑わう街に繰り出した。二人を見つけた子供たちが走ってやって来る。
「お菓子をくれなきゃイタズラしちゃうぞ!!」
「おねぇさん、おにぃさん!お菓子ちょーだい!!」
オバケの恰好をした子、ドラキュラの恰好をした子・・・色々な恰好をした子供たちに取り囲まれる二人。
○○とスペクターは見合わせて笑った。
「どうしようかしら・・・あげてもいいわよ?南瓜野郎さん?」
「南瓜に目鼻・・・かわいそうだからくれてやろう・・・」
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