南瓜野郎と南瓜に目鼻
任務先であるU.B.C.S.の施設に潜入したデルターチーム。「いよいよここからが本番」というような大きなゲートがゆっくりと開く。横一列に並んだメンバーの中で、中央の二人だけが異色だった。一人は身体中にオレンジ・紫・黒の閃光手榴弾を付け、一人はフードを被り上から下まで真っ黒で、背中に長柄の銀の鉄箒を背負っているのだ。本来は目立ってはいけない戦闘服なのに、この二人だけ異様に目立ってしまっていた。
そしてこの時、スペクターがそれぞれの色の閃光手榴弾を一つずつ自分たちの近くに投げていた。オレンジ・紫・黒の光の中、異様なチームの異様な登場である。
そうこうしているうちに、U.B.C.S.の兵士が銃撃を始めた。
「ここは私に任せて!!」
○○は背中に担いだ鉄箒を構えると、柄の一番先端を両手で握りしめ、自分を軸にその場で回転し始めた。
「ぐわっ!!」
「ぬぅおわぁぁぁっ!!」
鉄箒によって跳弾し、その弾で傷を負うU.B.C.S.たち。
「この野郎ぉぉぉっ!!」
跳弾を逃れたU.B.C.S.兵士が○○の前に躍り出た。至近距離で銃を構え、引き金を引こうとする。
「甘いのよっ!!」
○○は鉄箒でその兵士が付けているマスクを吹っ飛ばす。そして、素顔になった兵士の元へゆっくりと近付く。
「あら、あなた・・・そんな潰れたパンプキンパンみたいな顔で私を殺せると思ってるのかしら・・・?」
普段はしない話し方、語尾に「わ」や「よ」や「かしら」を付けて、艶やかな女性を演出するのも○○の作戦だった。「色っぽいお姉さんに言葉攻めを食らう男作戦」である。
「え・・・?」
訳がわからないといった顔をするU.B.C.S.兵。
「ふ・・・とんだ南瓜野郎ね・・・」
「何だとっ・・・!?」
挑発に乗ってしまう愚かな兵士。
「・・・死んで・・・?」
冷やかに、艶やかに、○○は笑った。
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