日本食南瓜料理ハロウィン
「きゃああああああああああっ!!!!!!・・・・・・あ、え?あ?えぇ!?」
連想する物は「死」・・・・・・なんてことはなかった。
「よくきたな○○!時間ぴったりだ!さぁ、早く!お前も手伝え!!」
「おぇ!?」
どこの国の人だかわからない変な声を出しながら、意味のわからないまま、○○は先程ベクターが居た流しの前へと連れて来られる。
「ちょっとベクタ・・・ぎょわっ!!」
目の前の流し台に眼を移せば、様々な色や形の南瓜が沢山置いてある。傍には切ってある物もある。
「ベクター、何これ・・・」
「“何これ”って、南瓜だが」
「いや!そうじゃなくてっ!」
○○は先程から意味不明なことばかりが続くこの何分間のことをベクターに問い質した。
「今日はハロウィンだろ?しかし、俺たち日本人にはハロウィンは馴染みのない物だからな。ハロウィンと言えば、南瓜が付き物だろ?だから一緒に天麩羅でも作ろうと思ってな」
あの「ダーンッ!」という音は南瓜を切る音だったのだ。そして、ベクターの手に握られている包丁は刃渡りの長い、野菜などを切るのに最適な菜切り包丁だったのだ。
「ふ・・・ベルトウェイ・・・俺の仲間に触発されてな・・・」
ベクターはつい先程、仲間のベルトウェイの彼女に対する思いやりを知ったと言う。それに触発され、自分も見習おうと思い、すぐに○○を呼んだのだった。午後4時44分というのも、任務の時の恰好をしているのも、わざわざ庭の流しで包丁を振り下ろしているのも、全ては○○を驚かせようというサプライズだったのだ。
「サプライズって言うか、死を覚悟したよさっき!!」
○○はそう言って疲れた顔を見せる。しかし、天麩羅という言葉に反応を示す。○○とベクターはアメリカに住んでいるが日本人である。生まれは日本なのでハロウィンにはあまり馴染みがなかった。
「天麩羅か〜、いいね〜!」
○○はベクターを見つめて笑った。
「ん?」
しかし、笑ったのも束の間。先程も見えたが、流しには瓜のような形の南瓜や黄色い南瓜が・・・。
「ベクター、まさかこれ、食べ比べとか言うんじゃないよね?」
「その通りだが」
「え・・・」
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