日本食南瓜料理ハロウィン
10月31日、時刻は午後4時44分。これが、ベクターが指定してきた時刻だった。
ベクターから呼び出され、彼の家へとやって来た○○。彼の和風の家に着くなり、何やら庭の方から「ダーンッ!」という音が聞こえてきた。
いったいなぜ、こんな中途半端な時間なのだろうか。なぜ、「死」を連想させる数字ばかりが並ぶこの時間なのだろうか。そんなことを考えながらも時間ぴったりにやって来てしまう自分も自分だった。
10月の末。明日から11月というこの時期は、夕方の5時近くになれば辺りは暗くなってくる。連日天気は良いため、オレンジ色の美しい夕日が見られるが、空の上の方には青い筋がうっすらと見え始めていた。
ベクターはいったい何の用があったのだろうか。
○○は首を傾げながら、先程から音が聞こえてくる庭へと向かう。すると、流しの前にしゃがみ、何か光る物を何度も振り下ろすベクターの後ろ姿が見えた。
「ベクター!?何やってる・・・・・・」
○○に気付き、ベクターがゆっくりと立ち上がる。フードを被り、上から下まで真っ黒の服。これは、彼が任務の時に着る戦闘服だった。不気味な防毒マスクに、不気味に光る青い目元。そして、彼の手には・・・。
「ベクター・・・何で包丁なんか・・・持ってる・・・の・・・?」
ベクターの手には広くて長い刃の包丁が、鋭く銀色に光る包丁が握られていた。
どうして彼は任務でもない今、こんな不気味な恰好をしているのだろう。どうして彼は、不気味に「恐怖」の要素も付け加えるように包丁なんか握っているのだろう。
ゆっくりと近付いて来るベクター。足を引き摺るように後退りをする○○。
時刻は午後4時44分。オレンジ色の夕日が美しい世界に、うっすらと闇が忍び寄る。○○の目の前まで来ると、ベクターは勢いよく包丁を振り上げた。その瞬間、木々の間から何羽ものカラスが音を立てて飛び立った。
連想する物は「死」
「きゃああああああああああっ!!!!!!」
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