カボチャ畑のベルトウェイ 2014
「あ〜あ・・・ベルトウェイさん、いったいどうしちゃったんだろう・・・」
結局独りで畑に居る○○。最近の彼の様子を心配しながら、畑に並ぶオレンジ色のカボチャを見やる。小さい物、大きい物、もうそろそろ食べ頃の物・・・。きれいに並ぶカボチャ一つ一つを見ていくと、一年前の今日のことや、畑でカボチャを育てるベルトウェイの様子が鮮明に思い出される。「思い出す」なんて言葉が似合わない程よく覚えている、脳裏に新しい、大好きな記憶。
ベルトウェイとの出会いは一年と少し前。○○は大きなカボチャを丁寧にタオルで磨くベルトウェイの姿を見て、「私にも磨かせて下さい!!」と許可を待たずに畑の中に駆けて行ったのだった。
それから彼のカボチャ畑に来るようになり、彼の良い所がどんどんわかっていった。
「一番大きいカボチャは更に大切そうに磨いてたよね」
○○は畑で一番大きなカボチャの前にしゃがむと、そっと触れる。オレンジ色の傷一つない綺麗なカボチャ。すべすべした触り心地に、○○は撫でるように手を動かす。
ベルトウェイが最近のようになる前まで、昨年と同様に一緒にカボチャの成長を楽しんでいた。
「最近はカボチャの世話はどうしてるんだろ・・・」
いつも地面にどっかりと腰を下ろし、大きな身体をちょっと丸めながら自慢のカボチャに頬擦りをしていたベルトウェイ。その時の目を瞑った優しい顔。昨年と何一つ変わらない彼に、○○はベルトウェイがカボチャの世話をほったらかすとは思えなかった。
おそらく彼は、○○が居ない時にはしっかりと世話をしているのだろう。
・・・私が一緒じゃ・・・嫌・・・なのかな・・・
ふと頭を過った考えに、○○はカボチャを撫でていた手を止める。
「私・・・何かしちゃったのかな・・・」
どうしてもベルトウェイが気になる○○。ここ最近のあの状態の訳を知りたかった。そして、自分が原因なら謝りたかった。
「行こう!」
○○はベルトウェイの元へ駆けだした。
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