ンダーソニア

「でも、ハロイウィンの日に急に独りにさせてしまうから、これを贈ろうと思って買ってきた」

 花を包んでいる包装紙からは一本の茎が見えている。

「かつてお前に教えてもらった花だ」

 ハンクのその言葉に、○○ははっとしたような表情でハンクを見つめる。そして、ハンクから包装紙の先端へと眼を移し、その中を覗き込んだ。

「あっ!サンダーソニアだ!!」

 サンダーソニアとは、一本の茎からカボチャのような形の花を沢山つけるオレンジ色の花である。(他に淡い黄色の物もある)一輪挿しにうってつけで、その姿からハロウィンのカボチャに見立てて利用されることもある。

「あ、じゃあ!電話の時に忙しそうにしてたのって、このお花をわざわざ買に行ってくれてたの!?」

 ○○はハンクの顔とサンダーソニアを交互に見やる。

「まぁ・・・な・・・急にU.S.S.の上部から任務と言われたからな。急がないと花屋が閉まる時間になってしまうからな」

 そう言うと、ハンクは少し頬を赤くする。

「でも、どうしてこのサンダーソニアを?ランタンなら一緒に作ったのがあるのに」

 ランタン(ジャック・オー・ランタン)とは、オレンジ色のカボチャをくり抜いて、怖い顔や滑稽な顔を作り、その中に火の点いた蝋燭を立てる物である。そして、それをハロウィンの晩に家の戸口の階段や窓辺に置いたりする。悪い霊を怖がらせて追い払ったり、良い霊を引きつけたりすると言われている。

 サンダーソニアはカボチャに見立てて利用されることもある・・・しかし、そのカボチャであるランタンはもう随分前から用意してあるのだ。

 ○○は窓辺に飾ってある二つのジャック・オー・ランタンを指さした。


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