ンダーソニア

 リビングのソファに腰掛けるハンクに、○○はコーヒーの入ったマグカップを手渡す。ハンクとは不釣り合いなかわいらしいカップからは湯気が立ち、ブラックコーヒーの深い香りが広がった。

「ありがとう」

「いいえ。で、今日はどうしたんですか?」

 お礼を言って口をつけるハンクの隣に、○○は静かに腰を下ろした。

「実は・・・急な任務がまた入ってしまったんだ。だから、約束していた明日のハロウィンは一緒に過ごせなくなってしまった。・・・すまない・・・」

 一緒に過ごすと言えども、どこかへ出かけるとか食事とかパーティーの約束はしていない。少し前に一緒にハロウィンの飾り付けをした○○の部屋で、一日中のんびりと二人で過ごすのが、○○とハンクのハロウィンだった。

 ハンクはコーヒーをもう一口すすると、○○を見つめた。その眼は申し訳なさで一杯だった。

 しかし○○は、そんなハンクを見て優しく微笑む。

「大丈夫ですよ。「ハロウィン」ていう日が明日ってだけで、一緒に過ごすのはその日に限ったことじゃないんですから。それに―」

 ○○はハロウィンの物で飾られた部屋を見渡しながら続ける。

「ハロウィンが終わっても、この飾りは11月中旬くらいまでつけていたいんです!だから、任務のない日に、二人きりでゆっくりとここで過ごしましょう?」

 ○○はハロウィンの飾りが大好きだった。ハロウィンだけではなく、クリスマスやそういった行事の飾りや置き物が大好きなのだ。自宅でパーティーや、誰かを招いたりする予定のない時でも綺麗に飾っていた。その飾りを見ているだけで、○○はとても嬉しく楽しかったのだ。

「あぁ、そうだな」

 そんな○○を見て、ハンクも優しく微笑んだ。そして、自分の隣に寝かせておいた花をそっと手に取ると、ゆっくりと○○に差し出した。

「でも、ハロイウィンに急に独りにさせてしまうから、これを贈ろうと思って買ってきた」


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