10月31日午後7時過ぎ
残業終わりの夜の道を、○○は急いでいた。恋人のピアーズに逢うためだ。職場が異なる○○とピアーズだが、会社からの最寄駅は同じだった。その駅で朝晩に逢うのが日課で、この日の朝も短い時間の中で会話を楽しんでいた。しかし、最近のピアーズは忙しそうにしている。朝晩と訪問するお客が何件も居て、夜に訪問した後は、帰宅してもその各相手にメールを送らなければならなかった。しかも、そのメールも時間指定があり、『9時半までに』などと決められていた。そして、相手からの返信を確認しなければいけないということもあり、色々と制約されていた。
コツコツとヒールの音を響かせながら、○○はピアーズに仕事が終わったとのメールを送る。
「今日は・・・遅くなっちゃったから逢えないかな・・・?」
今日はハロウィンで、どうしてもピアーズに逢いたかった。どうしてもピアーズと見たい物があり、どうしてもピアーズにしたいことがあったのだ。○○は腕時計を確認すると、再び前を見つめる。急げば一緒に居られる時間が少しでも増えるかもしれない。
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