12月の星空がお前は大好きだったよな。デートの帰りにはいつも、星のよく見える丘に二人で登ったよな。
The Starry Skies In December
急遽決まった、クリスの家でのクリスマスパーティー。深夜まで続いたパーティーも終わり、すっかりできあがったフィンやマルコのイビキが響いていた。
「○○さん、すみません・・・急にパーティーだなんて。・・・隊長と一緒に出かけるとか・・・色々予定もあったでしょうに・・・」
「大丈夫ですよ〜!実は・・・クリスマスって言っても、特に予定って入ってなかったですし。急な任務だってあるでしょう?それにパーティーだなんて久しぶりだから楽しかったです!私の方こそ、皆さんのパーティーにお邪魔しちゃって・・・何か、かえってすみませんでした。どうもありがとうございます!」
申し訳なさそうな顔をしながら後片付けを手伝うピアーズに、○○は笑顔を向ける。クリスとの予定が入っていなかったのは嘘ではない。結婚する前から、何度かクリスマスに任務の時はあったし、クリスマスはどこに行っても混んでいるから敢えて予定をずらすこともあった。それに・・・
「それに私・・・『クリスマスだから好きな人と一緒に居たい』とか、あんまり気にしないんですよ」
大切な存在である人が傍に居てくれるのなら、ちゃんと生きて帰って来てくれるのなら、それだけで十分だった。それは紛れもなくクリスのことなのだが・・・。
そう思えたから結婚したのかもしれない。○○はふとそう思った。クリスへと視線を移せば、未だサンタクロース帽を被ったままの彼はフィンとマルコに毛布をかけている。
「ピアーズさんは、クリスマスとか特別な日には好きな娘と一緒に居たいですか―ってあれ?・・・寝ちゃってる・・・?」
微笑みながらクリスからピアーズへと目を戻せば、彼はテーブルを拭いている状態で固まっている。どうやら眠ってしまったようだ。
「クリス」
静かに笑ながら、○○はクリスにピアーズにも毛布をかけるようにと促す。
「ピアーズさん、寝ちゃったね」
「あぁ。何だかんだで、こいつも忙しいからな」
クリスも静かに笑うと、ピアーズの背中へと毛布をそっと広げる。BSAAの隊長に似つかわしくない程の柔らかな表情と優しい動作は、まるで父親みたいだと、○○は目を細めた。
「○○」
「うん?」
ゆっくりとサンタクロース帽をとりながら、クリスがこちらに顔を向ける。
「ちょっと・・・いいか?」
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