―そして今―

 「お前が悪い」という言葉――蕁麻疹が出るのは仕方のないこと。体質もあれば、その時の体調もある。しかし、帰宅した時の症状で注意をしなかった○○も悪い。(注意したら蕁麻疹が酷くならなかったかと言えば、そうではないだろうが)

 やはりハンクの中では「自業自得」という四文字である。そして、それに「お前が悪い」・「バカ!!」の2つが加わっていた。

「ごめんね……ハンク」

 未だ赤い顔をしながら、○○はハンクに目を向ける。

「わかったから、じっとしててくれ。オロロナイン塗ってるから」

「うん……」

 ○○は痒さに耐え、眼をぎゅっと瞑る。暫くの間そうしていると、軟膏の冷たさやハンクの手の動きが、とても心地よく感じられた。

「……ハンク……?」

「ん?」

「……本当に、ごめんね……」

 そして、睡魔が再び○○を襲っていた。

「……ハンク、ありがとう……ハンクの手、すごく気持ち……」

 言いながらハンクに微笑むと、○○は心地よさそうに眠りに落ちて行った。

「全く……世話のかかるやつだ……」

 自分はこれからリビングのソファーで寝るのだ。1つのベッドに2人では○○はよく休めないだろう。

 軟膏を塗り終えたハンクは、ふっと笑みを作ると○○の頭に手を伸ばす。汗で額に纏わりついた前髪を分けるようにそっと触れた。

「ちゃんと休めよ」


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