JAWS
寝る前と同様に明るい部屋の中、1つのベッドの上で胡坐をかき腕組みをする○○と、その正面に正座をさせられている男、ピアーズの姿が・・・。
「で!?何で夜這いなんかしてんのよ!!」
「・・・それはその・・・ム・・・ムラムラしちゃったので・・・」
「はぁ!?“ムラムラ”って、何にムラムラしたのよ!!」
「・・・う、うるせぇなっ!!何だっていいだろ!!兎に角ムラムラしちゃったの!!」
「何にしたのよ!!言いなさいよ!!」
言った後に、○○ははっとしたかのように続ける。
「まさかピアーズ!あんた、こんな所にまでエロ本持って来てるんじゃないでしょうね!?それでムラムラ・・・・・・!?」
○○は「うわぁ」と言いたげな眼を、目の前のピアーズに向ける。
「違ぇよっ!!そんなもん持って来るかよ!!それに、家にだって持ってねぇし!!」
嘘か誠か、言い返すピアーズ。そして極り悪そうに○○から眼を逸らすと、呟くように続けた。その顔は微かだが赤い。
「・・・ムラムラしたのは・・・・・・あんたの水着姿にだよっ・・・・・・」
暫し沈黙。
○○は驚いて固まってしまった。まさか、自分のそんな姿に興奮しているとは思ってもみなかったからだ。しかし、興奮されるということは、自分にも色気があるということか。○○の心の中でちょっとした優越感が生まれる。
「・・・だから・・・」
「・・・ん・・・?」
聞こえた静かな声に反応すれば、ピアーズがもの凄い速さでこちらに躙り寄って来た。その表情は期待に満ち溢れている。
「ダメ!!ぜぇ〜〜〜ったいダメ!!」
しかし、○○の言葉などお構いなしに、ピアーズはリモコンで部屋の電気を消すと、そのまま○○に覆い被さる。
「ダメだよ!!明日は朝から海に行くんでしょ!!寝ないとっ!!」
「大丈夫!」
「“大丈夫”じゃない―って、きゃあああああっ!!」
夏の海はサメだけがJAWSではない。
気を付けろ!!
隣に居る彼氏こそ、獰猛でとんでもないJAWSかもしれない。
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