キラキラと透き通る海に、照り付ける真夏の日差し。

 どこからともなく漂う潮の香りに、絶えることのない男女の声。

 水着に着替え更衣室を出た○○は、少し先で待つ彼の元へと足早に向かう。

「ピアーズ、お待たせっ!!!」


JAWS


「ピアーズ、お待たせっ!!!」

 壁に寄りかかるピアーズを覗くように、○○は元気よく笑った。

 一泊二日で海にやって来た○○とピアーズ。ホテルの部屋に荷物を置いた後、早速ビーチへと向かうことになったのだ。

「おう!来たか!じゃあ行くか!・・・って―!!!」

 言いながら○○に眼を向けたピアーズは、その瞬間大きく眼を見開いた。そして、何かに驚いたかのように口を開けたまま、動きが固まってしまった。

 あれ?ピアーズどうしたんだろう?

 ピアーズの両眼は、「どの部分」とは言えないが、○○の身体の方を向いているように見えた。

「ピアーズ・・・どうかした?」

「あ、いや・・・」

 言葉を濁すピアーズ。そんな彼に、○○の顔は先程の元気な物から不安な物へと変わっていく。

 も、もしかして・・・私の水着・・・変だった!?

「あのぅ・・・」

 ・・・この水着・・・似合ってないんじゃ・・・。

「この水着・・・変・・・?」

 すると、ピアーズは急に○○の腕を掴むと走り出した。

「行くぞ!!海っ!!」

 実は、ピアーズが○○の身体を見つめていたのは、○○の水着が変でも、似合っていないのでもない。

「ちょっと!?ピアーズ!?」

 ○○の水着は白のビキニ。程よい大きさの胸(水着で谷間ができている)に、細くくびれたウエスト。そして、きゅっとした尻。腰には同じ白のパレオが巻かれている。

「早くっ!!!」

 そんな恰好を前で披露されて、ピアーズには刺激が強かったのである。

「この水着、そんなに似合ってな―」

「似合ってなくない!!だから早く!!!」

 赤くなった顔を見られまいと、正面を向いたまま○○の言葉を遮り、ピアーズは勢いよく海に飛び込んだ。


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