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舵のような飾りを回し扉を開けると、○○はカフェテリアの中へ一歩踏み込んだ。
「わ・・・!!!」
お洒落な作りにこれまた眼を輝かせる○○。
丸いテーブルに美しい白のテーブルクロス。テーブルの中央には三本の蝋燭が。壁にも蝋燭が灯してあり、明るすぎず暗すぎずの照明が素敵である。カフェテリアの中央には上の階へ続く階段があり、吹き抜けになっているようだった。その階段を少し上った踊り場からは左右に廊下が分かれていてカフェテリアをぐるりと囲むようになっている。
「いいな〜・・・!!」
○○はカフェテリアを見渡しながら足を進めていく。こうしていると、小包を届けるという仕事を忘れてしまいそうだ。
「後で来よう」
お洒落で素敵なこの場所へは後でゆっくり来ようと決める。○○はテーブルに居る人たちに眼を向けると、静かに近付いた。
「あの・・・すみません」
すると、一人の男がこちらに顔を向けた。
「おっ!何だ?」
「あの・・・9階の客室はどちらにあるかご存じですか・・・?」
咄嗟に、○○は何だか気配を感じた。自分の周りに人が寄ってくるような・・・。
○○は男から周りに視線を移す。すると、5、6人程の男が自分を取り囲んでいた。
「お姉さん、かわいいねー」
「客室か?俺がそこに連れて行ってやろうか?」
「“ご存じ”だったら・・・お礼に何してくれる?」
いやらしい笑みを浮かべる男たち。
○○は「まずい!」と直感した。
「あ・・・すみませんでした、お邪魔しちゃって。よく考えたら、部屋じゃなくてロビーで待ち合わせの約束でした」
笑顔で適当な言葉を見つけ礼を言う○○。さっさとここから出なくてはと踵を返した時だった。
「俺たちとお茶しよーよ!!」
○○はすごい力で手を引っ張られ、男たちの中に戻ってしまう。
「ちょっと!やめて下さい!」
声を張り上げるも、手を放す気のない男たち。それどころか、どこかへ連れて行こうとさえしているようだった。
「ここ出てどっか行こうぜ」
「ちょっと!やだ・・・!」
脇に抱えていた小包が乱暴な音を立てて床に落ちる。そして、それに続くようにクリップボードも床へ投げ出された。
「やめて・・・!!」
その時、カフェテリアに大きな声が響いた。
「おい!!やめろよ!!彼女、嫌がってるだろ!!!」
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