Sweet

「冷えるな・・・」

 11月の冷える朝、日の出前の時間にスペクターはベランダに居た。サーモスコープで見た外は寒気的な色で、これから本格的な冬に入ることを知らせているようだった。ベランダのテーブルに置いたコーヒーからは、湯気が出ていて温かい世界を作っている。その温かい世界・・・湯気の向こうに見える寝室では、自分のベッドで○○が気持ちよさそうに眠っているのが見える。

 先程までは自分もそのベッドに一緒に居た。

「かわいい寝顔だ・・・」

 自分がベッドから出たことにも気が付かずに眠り続けている○○。自分が居た時と変わらずに、ぴったりと寄り添うようにして眠っている。そんな彼女を見れば、スペクターからは自然と笑みが零れた。

 これからまた寒い季節がやって来て、寄り添う季節がやって来る。

 きっと、毎晩一緒のベッドに入って、○○を抱き締める。そして、その額にそっとキスを落とす。

 そんなことを考えながら、スペクターは外の景色に目を向ける。空がうっすらと明るくなってきた。

「スペクター」

 突然呼ばれた声に振り向けば、ふわりとした優しさに包まれた。

「○○」

 その優しさと温もりが離れないように、スペクターは○○をしっかりと、それでいて優しく抱き締める。

「そんな恰好で風邪ひくぞ」

 薄着の○○。彼女の身体を冷やすまいと、スペクターはそっとその背中を摩る。すると、○○が嬉しそうな顔をしながら、彼の首に巻き付けた両手を動かし始めた。

「大丈夫!毛布持って来たから」

 ベッドの脇に置いてある薄い毛布を、自分とスペクターが入るように広げた○○。

「それにね」

 毛布に包まれながら、更に嬉しそうな顔を見せる○○。

「スペクターが一緒だから」

 その言葉に、スペクターは優しく微笑んだ。

「そうだな」

 二人して毛布に包まれながら、朝日が昇るのを見つめる。キラキラと輝き出した世界の中で、スペクターは自分の唇を○○の唇に重ねた。

 合わさった二人の影の後ろでは、テーブルの上のコーヒーが温かい世界を作っている。

 温かく、優しく寄り添う季節がやって来る。

 きっと、毎朝こうして○○を抱き締める。そして、その唇に口付ける。

「これからもずっと一緒だ」


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