プリクラ
プリクラ機から出てきた写真を手に取り、○○とジェイクは歩き出す。
「ねぇ、ジェイク」
「あん?」
○○は手の中にあるプリクラを見つめた。リンゴ型クッションを抱え八枚程撮ったプリクラ。らくがきは互いの名前を書いたり、リンゴのスタンプが押してあったり、至ってシンプルな物ばかり。それでも二人は笑顔いっぱいで、その笑顔があれば、他には何も要らない程である。
しかし、ある一枚のプリクラだけには、名前以外にも何か文字が書かれていた。
リンゴ型クッションに座ったまま、ジェイクが○○を、ぎゅっ!と抱き締めている写真。らくがきをする時に、ジェイクが「俺がやる!」と張り切っていた物だ。そこにはジェイクらしいザツな字で『大好きだ!!』と書かれていた。
そんな一枚を見て、○○は優しく笑う。
「ねぇ、ジェイク。どうしてプリクラ撮りたかったの?写真なら―」
「お前と!と、撮りたかったんだよ!プリクラってヤツを!!文字・・・書いてみたかったんだよ!」
言いながらそっぽを向くと、ジェイクは『大好きだ!!』と書かれた一枚を指差した。
そんなジェイクに、○○は嬉しそうな顔をする。
「私もね・・・」
○○はジェイクの横顔を見つめた。その視線に気付いたジェイクも、ゆっくりと○○を見つめる。
「ジェイクのこと、大好きだよ!!」
お揃いで大きなリンゴ型のクッションを抱えて歩く二人。互いに見つめ合って笑った顔は、どのプリクラよりも輝いていて素敵だった。
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