「おい!○○!!」

「なぁに?ジェイク?」

 二人仲良くショッピングモールに来ていた○○とジェイク。お揃いで大きなリンゴ型のクッションを買い、抱えて歩いていた時のことだった。

「プリクラ撮ろうぜっ!!」

「え!?」


リクラ


 意外すぎるジェイクの言葉に、開いた口のまま彼を見つめる○○。“ニッ”と歯を見せて笑うジェイクの顔から彼の指の先に視線を移せば、プリクラコーナーが見える。

「なっ?撮ろうぜ!?」

「ジェイク・・・」

 好きな人とプリクラ・・・。カップルでプリクラを撮る者も少なくはない。しかし、○○は好きな人とプリクラという考えはなかった。友達となら、楽しく騒ぎながらプリクラを撮るのだが・・・。それが好きな人となると、何だか違う気がしていた。好きな人とプリクラなんて、恥ずかしいし、それに、好きな人となら、プリクラのように補正など入らない普通の写真だって十分に嬉しかったからだ。

 それに第一・・・。

「ジェイク・・・背が高いから、プリクラの中に入らないよ?絶対」

 そう。身長190センチの男がプリクラの枠の中に収まるはずがない。

「首のところで切れちゃったら、目も当てられないよ?」

 首から先が切れてしまっては縁起でもない。

「プリクラって、シャッター速いけど・・・ポーズとれないでしょ・・・?」

 次から次へと下りるプリクラのシャッター。撮る前に友達とポーズを決めても、撮影が始まってポーズが上手くできないことも多い。それを、ジェイクと一緒にやるのだ。

 ○○は、プリクラを撮るジェイクが想像できなかった。また、彼と一緒にプリクラを撮る自分も想像できなかった。

「ジェイク、カメラで撮ろうよ!この前、いいデジカメ買ったからさ!」

「嫌だ」

「はい!?―って!えぇえぇ!?」

 どうしてかわからないが、ジェイクはプリクラを撮りたくてしょうがないらしい。○○の腕を掴むと、ジェイクはプリクラコーナーへと足を向けた。


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