体に付いた無数の赤い斑点
「・・・フン・・・酷いものだな、この蕁麻疹は」
○○の首に顔をうずめていたハンクが静かに声を出す。
「まさか全身に・・・太股の内側にこんなにできるとはな・・・まぁ、皮膚が柔らかいからしょうがないか」
ハンクは○○の太股をなぞる手を止めて、ピシャリとそこを叩いた。
「やあっ!いたっあぅ痒いぃ!!」
「当たり前だ。こんなに全身に出てるんだからな」
冷たい眼で、冷たい言葉を言うハンク。
「私が昨日言っただろう!薬を飲んで寝てろと!それをお前は夜遅くまで起きてるは、卵焼きは食うは、酒を飲むは、しかもチューハイ半分で酔いつぶれるは、刺身は食うは・・・酔った勢いで熱いだの痒いだの、服は脱ぐは、私を抱き枕変わりにするわ・・・」
止まらないハンクの言葉。顔をしかめて○○を見ている。
昨日の朝、急に蕁麻疹が現れた○○の身体。たまたま休日だったので家で寝ていたのだが・・・そのお蔭か、夜になって蕁麻疹は消えた。しかし、おとなしく寝てろと言ったハンクの忠告を聞かず、刺身の賞味期限が近いからだの、卵焼きが食べたいだの、○○は蕁麻疹の大敵である物ばかりを食し・・・。
「私があれ程言ったのに・・・聞かないお前がいけないんだからな」
このザマである。
「やっだ・・・!ハンクぅっ、手、どかしてっ!!」
未だ太股の内側の蕁麻疹に触れられる感覚に、○○は涙目になりながら身体を震わす。
「全く・・・そういう声は違う時に聴きたいものだな」
ハンクはため息をつきながら、○○を抱きかかえベッドへと連れて行く。
「薬を飲んでおとなしく寝てろ!こっちまで痒くなる」
「・・・うん。ごめんなさい」
ベッドに寝かされた○○は、布団を顔まで引き上げながらハンクを見上げた。
「安心しろ。今度は私が赤い斑点を付けてやるから」
“お前がいけないんだからな”と言わんばかりに、ハンクはニッと笑った。
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