体に付いた無数のい斑点

 小鳥のさえずりが聞こえる頃、○○は目を覚ました。

 何か異変を感じる自分の体。

 シーツが触れるだけでも感じるその感覚に、眉を寄せながらも上体をゆっくりと起こせば、自分の身体の至る所に付いた無数の赤い斑点が顕になった。

「・・・んっ・・・」

 その赤い斑点にそっと指先だけで触れると、ゾクゾクとした感覚が背中を走る。

 いったいなぜ、自分の身体にこのような痕が付いているのか。

 ○○がふと横に目をやると、こちらに体を向けて眠る者が居る。

 広く厚く逞しい胸板、がっしりとした腕、鍛え上げられた肉体を惜しみなく晒して眠る男。それは紛れもなく、○○の恋人であるハンクである。

 ○○の中で昨日の晩の彼の言葉が頭の中で木霊する。

―『お前がいけないんだからな』

「ハン、ク・・・っぁ・・・」

 彼に手を伸ばそうとも、シーツが身体を擦る感覚にまたしても○○は身を捩る。仕方なくシーツを手繰り寄せ身体に巻き付けると、少しでも身を捩る感覚を生まないように素早くベッドから下りた。


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「見えない臓器の名前は」
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