ーちゃん

「で、その、○○のずっと好きな人っていうのは?どんな人なの?」

 アツアツのコロッケを齧りながら、ピアーズが○○に訊いた。

「え〜っとね、凄く優しい人だよ」

「抽象的だな。他には?」

「う〜んと・・・か、恰好いいの・・・かな?」

「また、抽象的だな。おばさんは何て?相談してるんだろ?」

「『頑張りなさい』って。ママもその人のことよく知ってるし。あ、ピーちゃんもその人のことよく知ってるよ」

「え!?俺も知ってる?」

 そんな人居たかとピアーズは首を傾げる。

「・・・告白は?しないの?」

 言いながら、ピアーズは何か釈然としない思いを覚えていた。

「う〜ん。『長すぎた春は続かない』って言うじゃない?それを信じてる訳じゃないけど・・・何かね。それに、その人に大切な人が居るかもって思うと、告白するタイミングがなくて」

 ピアーズは○○の話を聞き、先程の釈然としない思いを深くしていた。自分もよく知っている○○の大切に想う相手は誰なのか。○○は、付き合っても長続きしない理由はソイツだと言っていた。一体、そこまで想われる男とは誰なのか。一体なぜ、○○はそんなにソイツに想いを寄せるのか・・・。

 ピアーズはいつの間にか拳を固くしていた。


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