ピアーズは長期休暇を利用して帰郷していた。“自分が生まれ育った場所”、それだけで気持ちは落ち着き、いつもの忙しい日々を忘れることができる。いつになっても変わらない自分の育った家、遊んだ庭。そして―。
ピーちゃん
「ピーちゃん!お帰り!」
そして、いつになっても変わらない、自分を呼ぶ幼馴染の○○。
「おう!」
「ピーちゃん、また一段と顔が濃いような逞しいようなになったね!」
「何がだよ!」
「ここ!ほっぺの筋肉!筋入ってる〜!」
○○はそう言うと、ピアーズの頬を両手で引っ張った。
「そう言う○○こそ、スノーマンみたいなほっぺたしてるじゃねぇか!どうせまた肉ばっかり食ってんだろ!!」
ピアーズはお返しと言わんばかりに○○の頬を両手でつまみ、上下左右に引っ張る。
「肉ばっかり食べてるのはピーちゃんでしょ〜」
「俺は分厚い肉を食う訓練だからいいの。ほら!今さっき○○が言ってた“ほっぺたの筋”もその訓練の成果だ!」
そう言って、勝ち誇ったように笑うピアーズ。そして二人共、互いに頬をつまみながら笑い合った。
こんな感じのやり取りがピアーズと○○の定番だった。いつもピアーズが帰郷すると、誰よりも早く出迎えてくれる○○。昔から“ピーちゃん”と呼ぶその呼び方も、何年経ってもちっとも変わらない。そんな○○に、ピアーズは知らず知らずのうちに穏やかな眼差しを向けていた。
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