ィン・マコーレーの初恋

「あの女の人、ちゃんと退院したかな・・・」

 あれから一週間。BSAAオフィスの自分の机で、フィンはそんなことばかり考えていた。彼女が退院するであろう日までに、お見舞いに行こうかと一度は思った。しかし、やめた。よく考えれば、お見舞いに行くと「助けた」と主張しているみたいだし、それに第一、「人を助けるのは当たり前」と思っているフィンにとっては、そんな偉いことをしたという思いはなかった。とにかく、「元気になればいいな」というのが一番だった。

―・・・ィン!フィン!!

「あっ?ははは、はいッ!」

 気が付けば、隊長であるクリスが呼んでいる。ついつい彼女のことが気掛かりで、自分を呼ぶ声が聞こえていなかった。

「大丈夫か?フィン」

「す、すみません!隊長!」

 フィンは慌てて立ち上がると部屋に入ってきたばかりのクリスに駆け寄る。

「お前にお客さんだぞ」

 クリスはフィンの肩を軽く叩くと、ニッコリと笑った。

「はい!わかりました、隊長!ありがとうございます!!」

 フィンはオフィスのドアを開けると、足早に午後の廊下を駆けていった。

 自分にお客さん?・・・そんな人、最近居たかな・・・?

 だんだんと小さくなるフィンの後ろ姿を、クリスは暖かな眼差しで見つめていた。


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