ィン・マコーレーの初恋

―どけどけどけーっ!!

―きゃあっ!

「ん?」

 通りを歩いていたフィン。荒々しい男の声が聞こえた方に顔を向けると、自分の目のすぐ先にある歩道橋で、階段を上り終えた女にその男の肩がぶつかったところだった。

 フラフラする女の体。バランスをとろうと、女は足に力を入れたが、履いていたヒールのあるブーツが階段を踏み外した。

 女の体が徐々に倒れていくのを、フィンは見逃さなかった。

―きゃあああああああっ!!

「危ないっ!!」

 思うよりも先に、フィンの体は動いていた。

―ドサッ!

 女が地に叩き付けられる寸前に滑り込み、なんとかその体を抱き留めたフィン。自分の体にかかる凄まじい衝撃で後ろに仰け反るも、すぐに上体を起こす。

「だ、大丈夫ですか!?」

「・・・う・・・あ・・・」

 ギュッと瞑っていた女の目が少し開いた。しかし、すぐにまた閉じられる。

「大丈夫ですか!」

 フィンの腕の中で女はぐったりとした。

 この状況に、何ごとかと人が集まって来る。

 フィンは女を抱えたまま、ズボンのポケットから携帯を取り出した。

「救急車を!・・・早く!」


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