丈夫だ

「大丈夫だ。まだ片手でつまめる程だ」

 ハンクはそう言い、○○の腹の肉をプニプニとつまんだ。

「だぁーっ!!人が気にしてるのにーっ!!!」

 そう、○○は太ってしまったのだ。年末から年始にかけて。いわゆる「正月太り」である。

「・・・私、ご飯抜こうかな・・・」

「おい!食わないとリバウンドの元だぞ!それに、豆腐はカロリーが少ないから大丈夫だ!!」

 テーブルの夕飯は、ハンクが作った湯豆腐。それを皿にとり、「んまいぞぉ〜」とニヤニヤしながら、ハンクが顔を近づけてきた。

「うっ・・・!こっ、殺してやりたいわ・・・!」

 そんな○○を見て、ハンクは小さくため息をついた。

「○○、いいから食え。飯を抜くなら間食を止めろ。お前がお歳暮やお年始を、際限なくバクバク食うからいけないんだろう」

 ハンクは言いながら、○○のすぐ横にあるゴミ箱を指差した。

 ゴミ箱の中には、○○が食べたお歳暮やお年始の菓子のゴミがたくさん入っていた。マドレーヌやクッキーなどの、バターたっぷりで高カロリーなものばかりである。『よくぞまあ、こんなに食って飽きないな』とハンクはゴミ箱の中を、驚きのような呆れたような目で見つめた。

「ねぇ、ハンク。どうしたら痩せる?」

 ○○が拳を握り、真剣な目をハンクに向けた。

「走るとか」

「走るの嫌い!!」

「おいおい・・・あ・・・!」

 「それじゃあ話にならんだろ」と苦笑するハンクだったが、何かを思いついたかのように声を上げた。

「○○、あるぞ。痩せる方法が」

 ハンクはちょっとした悪戯を思いついた。もちろん本気ではない。ただ冗談のつもりで。


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「見えない臓器の名前は」
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