二年越しの

 ○○が日本に帰ってから1年が経った。つまり、彼女と出会ってから二年の月日が流れた。

 ベクターがU.S.S.に向かい歩いていると、いつしか彼女と出遭った公園が近付いて来る。

「○○・・・」

 最後の最後に彼女を抱き締めた掌。今でも忘れないその感触。

 彼女の名をそっと呟き、陽の光に眼を細めながら、隣接された道路を進んで行く。あの日と変わらない木々や草花。

 結局、○○への感情をなかったことにはできなかった。忘れようとしても、忘れられなかった。何一つ変わらずにU.S.S.の兵士として過ごしても、彼女への己の気持ちを変えることは不可能だった。

「フン。俺も女々しいものだな・・・」

 自嘲染みた笑いを漏らすと、自身の横に広がる公園に眼を向ける。

 すると、かつてと同じように女の悲鳴が聞こえてきた。

―Don't act stupid!!

「・・・またか・・・」

 本当に面倒くさいことこの上ない。そう思いため息をつきながらも、ベクターは公園へと足を向ける。

 女を取り囲んでいた数人の男を蹴散らし、その男らが逃げて行くのを確認すると、ベクターは振り返り、女へと視線を移した。

 尻餅をついて今にも溢れそうな涙を目に浮かべ、女はベクターを見上げていた。

「Hey, Are you all rig―」

 差し出した手と言いかけた言葉は止まり、ベクターの顔は驚いた表情へと変わる。

 そこに居たのは・・・。

 彼と眼を合わせた女の瞳からは静かに涙が零れ落ちた。

 ベクターは、女が自分の手をとる前に彼女の手を勢いよく引き、その身体をきつく抱き締めた。

「○○!」


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