嬉しいおっさん
静まり返る夜の食卓。ピンと張り詰めて、少しでも触れたら壊れてしまいそうな空気。
その空気の中、クリスと○○は向き合って座っている。
テーブルの中央には、いつものようにバナナ専用バスケットの中にバナナが・・・。しかし、それさえも漆黒の闇に呑まれるかのように色を失くし、重たく不気味な程の静寂が漂っていた。
クリスと○○・・・今まで様々なことを共にしてきた二人だが、こんなにも深刻で重たく、そして、息苦しくなるような雰囲気は、今までにあっただろうか。
「・・・・・・妊娠した・・・・・・」
「・・・え・・・?」
「・・・・・・だから・・・できたん・・・だ、よ・・・」
「本当なの―」
「本当!!」
二人の間に、再び静寂が流れる。しかし、ゆっくりとクリスの手が伸び、震える○○の肩にそっと触れた。
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