悲惨なおっさん
―ズゥゥゥゥゥゥゥン!!!!!!
「うっ!!!!!!」
大きな音・・・何か重さのある物が乾いた床に倒れる、そんな音がした瞬間、何かが顔面に向かって飛んできた。しかも、並の速さではない。とてつもなく凄い速さで。
「いっ!たぁ〜っ!!」
○○は顔を抑えて仰け反ると、その場に勢いよく尻餅をつく。
「ク・・・クリス・・・っ!」
確か自分は二階に行こうとしていたはず。目の前にはクリスが居いて、その彼と一緒に廊下を歩いていたのだ。
○○は痛む顔に涙を浮かべながら、彼の名を呼んだ。
あの大きな音は何だったのか。自分がこんな状態なのだ、前を歩いていたクリスは更に酷い状態かもしれない。
「クリスッ!・・・って・・・!?!?」
この悲惨すぎる光景は何だ!
○○は涙で滲む視界でもわかる悲惨な光景に目を丸くする。
クリスが仰向けで倒れていて、彼の顔の上にはバナナの皮が乗っている。そして、彼の足元にもバナナの皮が・・・。
そういえば、前を歩いていたクリスはバナナを食べていた。○○は“もしや”と思い、尻餅をついたまま、辺りを見渡した。すると、食べかけの、自分の顔面に当たった痕の残るバナナがすぐ傍に落ちているではないか。
先程の大きな音の原因がよくわかった。“もしや”も大当たり。この光景を見れば一目瞭然。
家の廊下になぜか落ちていたバナナの皮で、歩きながらバナナを食べていたクリスが滑った・・・。そして、クリスの手の中にあったバナナの身は○○の顔面に・・・。その皮は倒れたクリスの顔の上に・・・。
BSAAアルファーチームの、しかも隊長が、いい歳したおっさんが、いったい何をしているのか。
痛さで頬を伝った涙も逆戻り。○○はクリスに向けた「心配」の感情を、「呆れ」へと変化させる。
「何やってんじゃい!」
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