―Snipe Of Love―
BSAA見学の約束の時間の10分前、正面玄関に入った○○と△△は、革のパンプスの底をコツリと響かせた。受付の女性たちに挨拶をし、内装に驚くのも束の間、互いの視線はガラスドアに映る自分たちの姿に向く。○○はタイトスカートのスーツで、プチネックレスに腕時計。そして、ハーフアップにした髪をバレッタで留めていた。△△はパンツスーツで、ワイシャツの襟をジャケットの上に出しているスタイル。そして、いつもは全くしないパソコン用のブルーライト眼鏡をしていた。
「何かさ!こういう恰好してると、BSAAの事務職員にでもなったような気分じゃない!?」
「だね!」
△△の楽しそうな声に、○○も笑う。
「でも、△△ってそんな眼鏡してないよね?パソコン用のなんかいつ買ったの?」
「いや、家でパソコンやる時にしようと思って少し前に買ったんだけど・・・結局してない」
△△は笑いながら眼鏡を取り、首を軽く振って顎まである前髪をサラッとさせた。そして再び眼鏡をしながら○○に眼を向ける。眼鏡の縁に指先で軽く触れ、上に少し押し上げた。
「たださ・・・こうしてると、『デキる女』って感じでしょ!?」
「『オフィスレディ』だな」
○○が答える前に、すぐ近くから低い声がした。
声のした方へ眼を向けると、△△がすぐに眼を輝かせる。
「―あ〜っ!!クリスさんっ!!」
そこには、大好きなクリスがスーツ姿で居たのである。○○と△△の会話を聞いていたのか、クリスの表情は楽しげである。
「2人がアルファチームに配属になったとしたら、みんな喜ぶだろうな。男しか居ないからな」
「―二ヴァンスさん!!」
クリスの隣にピアーズが並ぶ。ピアーズもまた、クリスと同様にスーツ姿であった。
クリスとピアーズの発言からすると、どうやら、○○と△△が来るよりも前にここに居て待っていたようだ。
「本日はよろしくお願い致します」
○○と△△が頭を下げる。
「こちらこそ、よろしくお願い致します」
クリスとピアーズも頭を下げる。そして、右の手を斜めにして蟀谷あたりに持って行くと敬礼をした。
「じゃあ、行こうか」
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