―Snipe Of Love―
BSAA見学当日―
見学時間が始まって少し経った頃、ピアーズと○○は2人でオフィスの廊下を歩いていた。
「すみません・・・二ヴァンスさん。△△ったらクリスさんにべったりで・・・」
○○は隣で歩くピアーズに苦笑する。
実は、最初はオフィス内を見て回ることになったのだが、△△が「クリスさんに案内してもらいたい!」とクリスに張り付いてしまったので、2人組に分かれることになったのである。
おい、何言ってるんだよあんた・・・△△さん、ナイスプレーじゃねぇか。
心の中で親指をぐっと立てるピアーズであるが、そんなことを言えもしないので何だか有り触れたような返答になってしまう。
「謝ることないだろ。△△さんと2人きりだから嬉しいんじゃないか?隊長も」
ピアーズはクリスと△△が消えて行った方を見つめる。
しかし、有り触れた返答かもしれないが、強ち間違った返答でもないようにピアーズは感じられた。いつもクリスが居ると△△は積極的だったが、それに対し、クリスは楽しそうにしていた。「相手が居たから表面上はそのように装っていただけ」ということも考えられなくはないが、ピアーズにはその考えはなかった。仲間内だけでの話になった時、△△のことを話題に出して楽しそうに笑うクリスを何度か見たことがあったからだ。
あの2人・・・けっこうお似合いだったりして・・・。
そんなことを考えながら、ピアーズはふと○○を見やる。自分の大好きな娘。その娘が今、「自分の職場」という「公の場」で、すぐ隣を歩いている。○○の働く店STANDING ALONEはBSAAの溜まり場でもあって、彼女を狙う男も少なくない。そう考えると、今こうして2人で歩いているのは、「俺の○○に手を出そうなんて考えるなよ」という、そういった男共への警鐘のようにも思えた。そして、廊下を進んで行くとすれ違う男や窓越しにこちらを見る男が、もし○○を狙う奴らの1人だったとしたら、そこから自分に向けられる羨望の眼差しとは、いったいどれ程の物なのだろうか。
「俺は」
自分の言葉に、ゆっくりとこちらに顔を向ける○○。
突然得た○○と2人きりになるチャンス。それを活かさない手はない。また、このような場でも少しは攻めてみたい。
ピアーズは○○を見つめて悪戯っぽく笑った。
「俺は、あんたと2人きりになれて嬉しいけど」
「え?」
歩いていた足を止める○○。
「二ヴァンスさん、それって―」
「ほら行くぞ〜」
ピアーズが振り返れば、そこには、だんだんと頬を赤くする○○が居た。
やぁ〜!!かわいい!!!
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