あんた、さっきから腹鳴ってるよな?
―Snipe Of Love―

 夜の帰路の中、二人の笑い声が響く。

「あっ、そうだ!二ヴァンスさんて、BSAAの狙撃手ですよね?」

「そうだけど・・・それがどうかしたのか?」

 唐突な質問に、ピアーズは○○の顔をじっと見つめた。

「あ、いや、射撃場ってどこにあるのかな〜と思って。オフィスビルがあって、グラウンドがあって、訓練施設があるのはわかるんですけれど・・・射撃場だけの建物ってないですよね?」

 広い敷地を持つBSAAだから、射撃場も相当大きなものではないかと予想していた○○。

「あぁ、そういうことか・・・!射撃場は地下にあるんだ。訓練施設の下にな。もし何かの間違いで銃の弾が外に出たら危ないからな」

「へぇ〜!!そうだったんですか!!」

「あぁ!!あ!そうだっ!あんた、今度見に―」

 何か閃いたかのように『パァッ』っと顔を明るくさせるピアーズ。しかし、言いたいことを伝える前に、何かの音に阻まれてしまった。

 ―ぐぅぅぅぅ〜きゅるるるるる〜

「ん!?」

 ピアーズは、明るくさせた顔に、高速で眉間に皺を寄せる。

 ○○は何かを誤魔化すかのように、咳払いをしている。

「ほ、ほら!行きましょう二ヴァンスさん!」

 歩くのを再開しようと一歩踏み出した二人。しかし・・・

 ―ぐぎゅるるるる〜ぎゅるるぅぅぅ〜

「あーーーっ!!!二ヴァンスさんっ!!!ほらほらほら!さっき、何て言おうとしたんですか!!!」

「ちょっと待った!」

 必死な顔をして捲し立てる○○を、ピアーズは「待て待て」と落ち着かせる。

「あんた、さっきから腹鳴ってるよな?」

「え゛!!!」

 眼を逸らす○○に、ピアーズはくつくつと笑う。ゆっくりと、逸らされた眼を覗き込んだ。

「腹、減ってるんだろ?」

「・・・はい・・・」

 俯いて恥ずかしがる○○。少し赤く染まった頬にキスができそうなその距離に、ピアーズの心臓は高鳴った。


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