嘘だろ・・・?こんな優しいの、アリかよ・・・
―Snipe Of Love―

「嘘だろ・・・こんな優しいの、アリかよ・・・」

 先日、自分の身体を心配してくれた○○。幾日か経ってもこんな風にメールを送ってまで心配してくれているとは、ピアーズも予想外だった。また、メールの時間帯や休日ということまで考えていてくれたとは・・・。

 いい娘だな〜・・・でも、そんなの気にしないでくれよ!あんたからの連絡なら、俺はいつだって欲しいんだから!

 嬉しそうな顔のピアーズ。画面の○○からのメールにキスを一つ落とすと、もう一度文を読み返す。

「・・・やべぇ・・・すっげぇかわいい・・・」

 ピアーズは顔を赤くしながら、枕をぎゅっと抱きしめた。顔を思い切り緩ませながら、携帯のメール欄にある『保護』のボタンを押す。

「え〜と・・・『ホントかわいいな、あんたは』と・・・おっと!!あぁ、ダメか・・・そうだよな〜・・・」

 返信をしようと、ついつい高速で書いてしまった文を急いで消していく。更にもう一度、彼女の文を見つめた・

「“風邪”・・・?あぁ、あれか・・・」

 ピアーズの眼が、○○の文の“風邪”で止まった。

 ○○に傘を渡し、ピアーズがずぶ濡れで帰った時のことを、彼女は言っているのだろう。

「俺は風邪なんか引いてないって言ってるだろう。・・・全く・・・あんたって娘は・・・」

 実を言えば、風邪を引いたピアーズ。しかし、「風邪を引いた」なんて言ってしまえば、男が廃るってものだ。あの時、『前から喉が痛かった』と嘘をついたのだ。

 心の声をブツブツと発しながら、ピアーズはボタンを押していく。そして、照れるように、はにかむように微笑んだ。


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