嘘だろ・・・?こんな優しいの、アリかよ・・・
―Snipe Of Love―


「はっ!!!」

 蟀谷から手を離し、急に眼を開けたピアーズ。それと同時に驚いた顔をする。

 突然、寝室のベッドの上から携帯の着メロが聞こえてきたのだ。いつもはズボンのポケットに入れている携帯を、今日はたまたまベッドの上に置いていた。こういう時にメールか電話なんて、よくあることだ。別に取り分け驚く必要はない。しかし、今のピアーズはそうも言っていられない。何と言ったって・・・

「○○からメールだ!!!!!!」

 そう、大好きな○○からのメールなのだ。ちゃっかりと“○○”と呼び、○○専用の着メロを、ピアーズは設定していたのだ。もちろん、携帯には『○○』で登録し、電話帳のメモ部分に彼女のフルネーム、『●●○○』と登録している。

「うおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!」

 台所から寝室までの大して遠くない距離をものすごいスピードで走る。勢いよくドアを開けるとベッドの上へと飛び込み、携帯の折り畳み部分を開いた。

「○○からの初メールだっ!!!!!!」

 緊張とワクワクの入り混じったピアーズの顔。どんなに過酷な訓練や実戦の時とは別の鼻息が荒くなっている。

 携帯の画面に広がる大好きな娘からのメール。彼女からの言葉に、ピアーズの眼は瞬時にスナイパーの鋭い眼から優しいものへと変わった。


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