―Snipe Of Love―
閉店までの仕事が終わり、○○は急いで裏口のドアノブを回した。ドアを開き終わらないうちに躍り出て、ある人物を探す。
「二ヴァンスさーん!」
○○が探していたのはピアーズだった。どうしても、言いたいことがあったのだ。
「二ヴァンスさーん!!!」
いつもの外灯の元に彼の姿はなく、○○は辺りを見回す。
「・・・居る訳ない・・・か・・・」
自分の仕事が何時に終わろうとも、裏口を出るといつもそこに居たピアーズ。しかし、今日は見当たらない彼に、○○はため息をつく。どうしても、昨日のお礼が言いたかった。そして、自分のせいで風邪を引いてしまった彼。どうしても、謝りたかった。
そして、どうしても訊きたいことがあった・・・。
「居るよ」
「えっ!?」
突然聞こえた掠れ声。その声の方に○○が顔を上げれば、外灯の灯りの元にゆっくりとピアーズが現れた。
ピアーズからすれば、大好きな○○と話さずに帰るはずがなかった。たまたまコンビニのトイレに行っていただけで、○○が裏口から出て来る時間を予想しているピアーズにとっては、その時間にこの場に戻るのは訳ないことだった。
トイレに行っていたお蔭で、嬉しいことがあった。自分を呼ぶ○○の声を聞き、自分を探す○○を見ることができたのだ。
「二ヴァンスさん!」
駆け寄ってくる○○に、ピアーズは先程買ったホットレモネードを手渡す。
「・・・どうした?・・・俺のこと、探してたのか・・・?」
熱っぽい眼に、掠れた声。それでもピアーズの眼はしっかりと○○を見つめていた。
そんなピアーズに、○○はこくこくと頷く。
「二ヴァンスさん、今日・・・歩き・・・ですよね?」
先程、駐車場を見回したが、ピアーズの車はなかった。ピアーズが自分の車をBSAAの駐車場に停め、そこから歩いて来ているとは知らない○○。昨日の土砂降りの中を駆けて行ったのも、自分に心配をかけないようにとしたことだと思っていた。
「コンビニ寄りたいんですけど・・・助手席、乗ってくれますか?」
○○はカバンの中から車の鍵を取り出した。
「それから―、送らせて下さい・・・」
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