―Snipe Of Love―
「お待たせ致しました〜、フライドポ・・・」
ピアーズの居るテーブルでにっこりと笑えば、こちらに向く彼の瞳。店員がやって来てそちらを向くなど当たり前かもしれない。しかし、ほんの少し前まではなかったこと。その彼の瞳がしっかりと、それでいて優しくこちらに向いている。そして静かに微笑むものだから、○○は驚いてしまった。
うわっ!?二ヴァンスさん!?
今までの酷いピアーズが脳裏に鮮明な○○にとって、このピアーズは少々刺激が強いかもしれない。
ピアーズもピアーズで、明るい光の下で間近に見る大好きな○○は刺激が強かった。元々本気であったが、先日更に本気になったピアーズ、○○と仲良くなるために恰好つけようなどとは全く考えなかった。自分を良く見せようとしても巧くはいかないもの。何重にも重ねたメッキが剥げるのはいとも簡単なことだし、結局はそのメッキなど、相手に気に入られようとして作る、自分自身の欠片もない「嘘や偽り」を多く含んでいるものでしかない。そんなもの、ピアーズにとっては無用の長物でしかなかった。大好きな彼女を想うと優しくなる心と身体、そんな土台だけで十分だった。飾りなど要らない。ありのままの自分、ピアーズ・二ヴァンスを、見て、知って、感じて欲しかった。
そう思うと、ピアーズの眼は自然と優しくなり、○○の方を向いていた。でもやはり、緊張でドキドキする心臓は煩い程だが。
驚きで若干止まってしまった手を、○○は再び動かす。フライドポテトの皿を静かにテーブルへと置いた。
続いて、ケチャップとマヨネーズの入った小さな器を持った時だった。すぐ後ろで△△の慌てた声が聞こえた。
「○○っ!!!!」
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