そのチャンスを、俺の怖い顔が減らしているのか?
―Snipe Of Love―

「何ですか?今の男?」

 フィンがカウンターに戻ったセバスチャンを見ながら驚いた顔をしている。

「何だろうな・・・・・・?それより!ピアーズ!笑顔の練習だ!ほらっ!ウインクもしてみろ!!」

 言葉に出さずとも仲間の誰もがピアーズを応援し、仮に勝負になったとしてもピアーズの勝利を信じている。そんな彼らにとって、突然現れた男の存在などどうでもいいことだった。

 ピアーズの隣に座るベンが、ピアーズの頬を摘まんで上へ持ち上げる。

 ムリに笑顔を作ろうとして引き攣ったピアーズの口角はひくひくと動き、「いかにも」な顔になる。

「ピアーズ!お前普段、もっとちゃんと笑ってるだろう!そんなんじゃダメだ!ほら!そこでウインクッ!!」

 あまりに酷いピアーズの無理に作った微笑みに、ベンは呆れた顔をする。しかし、面倒見のよい彼は仲間を放っておけない質らしい。

「こ、こうか?」

 ベンに頬を摘ままれたまま、ピアーズはパチンとウインクをした。

「ダメだ!酷すぎる!もう一回!!」


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