》創作 「お前さ、俺と帰っていいわけ?」 「え?何それー」 私は小石を蹴る。涼平とは家が近くて幼なじみで同じ高校で。 だから一緒に帰るのの何が駄目なんだろう。…なんて、白々しく私は首を傾げてみせる。 「彼氏、新しくできたんだろ?一緒に帰らねぇの?」 「…ああ、あの人は部活やってるからね」 「終わるまで待つとかしねぇのか」 「うん。二時間半も待ってるなんてやだもん」 今までだってそうだった。私も涼平も帰宅部だから一緒に帰っていた。 なのに、なんでいきなりそんなこと言ってくるんだろう。 たとえお互いに付き合ってる人がいても、私たちはただの幼なじみ、なんでしょ?だったらなんの問題もない。 「それより涼平はカノジョとまだ続いてるの?」 「まあな」 「遠恋でよくもつね。今何年くらいだっけ」 「中2からだから…3年かな」 もうそんなになるのか。当然涼平とは中学も同じだったから覚えてる。 あの時のことはよく覚えてる。…ああ、駄目だこの感じ。私ってマズイなぁ。 「すごいね、よくそんな続くよ」 あくまでも笑顔を忘れずに、私は、言った。涼平は黙り込んだかと思うと立ち止まって私の顔を見る。 「あのさ、里帆、そろそろやめた方がいいんじゃね?」 「何を?」 「入れ替え取っ替え、男替えるの。お前、一週間前に別れたばっかだろ?」 チクリ。なんだろう、痛い。…本当は全部わかってる。わかってる。わかってるけど 「私の勝手でしょ。仕方ないじゃん」 「何が仕方ないんだよ」 「…誰かに側にいて欲しいんだもん」 きっとそれは恋じゃなくて。空いた穴を埋めるようなそんなかんじ。 「…さみしいんだよ」 涼平が何か言う前に私はポツリと言う。知らないでしょ?わからないでしょう? だってね、好きな人に好きな人がいるってすごく苦しいんだよ。 笑顔を向けられたり名前で呼ばれたりしたら、報われることはないってわかってても好きなのをやめられない。 そんな自分が惨めで可哀相で、慰めてほしくて、誰かに側にいて欲しくなる。 …こんなの自分勝手で最低だって自分でもわかってるけど。 「なんだそれ」 「なんだろうね」 教えてあげない、絶対に。 ::私だけの秘密 10/12/05 報われない恋って好きです。恋は片想いのうちが醍醐味。なんて。 だいぶ前に暇潰しに書いたのでした。お粗末様でした! |