「関西弁っていいよね」
「は…?」
「でもブンちゃんが関西弁なのは想像できないなあ」
あか、あお、きいろ。いろんな色に包まれたお菓子たちを机に広げてぼーっとしていたとき、向かいに座っているなまえがいきなり口からそうこぼした。思わず反応が遅れてしまった。唐突、唐突すぎる。…ああでもなまえの場合はいつもか。頭の中で勝手に完結して、飲みかけのジュースパックに手を伸ばした、のに、視界の端からほっそい腕が伸びてきて、そいつはジュースパックと一緒に俺の視界から消えた。じゅー、とわざと音を立ててジュースを飲むなまえを睨んだ
「それ俺のジュース!」
「こんなんばっかだと太るよ」
「うるせー!」
「わたし心配だわ」
お母さん悲しい!とか意味わかんねえこと言って泣き真似をし出した。俺も悲しい。顔はかわいいのに性格がものすごい変なお前が
「てかお前、関西弁がどうとか言ってなかった?」
「ああ!そうそう。いいよね関西弁!」
「なんだそのテンション…」
「ほら!全国大会のときわたしも応援行ったじゃない?」
「俺の言葉はシカトか」
とりあえずなまえによると、全国大会に応援に来たときに会場で迷って道を聞いたやつが関西弁だったらしい。で、なぜか関西弁にときめいた、と。ついでにそいつについて行ってそこの応援もしてきた、ってお前は立海の生徒だろい。なに相手の応援してんだよ!
「関西、ってことは四天宝寺か…」
「あ、そうそう。そんな名前だった!」
「で?なんでそれを俺に言うわけ?」
「だってかっこよくない?部長の白石くんとか」
あ?白石、しらいし…?ああ、あの絶頂野郎か。あいつ聖書やらなんやら言われてるのに絶頂絶頂言ってていいのかよ。てか質問の答えになってねーし
「でも謙也くんもかっこいいよねー。まあおすすめは財前くんだけど!」
謙也ってあのヘタレだろい。それに財前も2年のくせにクソ生意気なピアス不良少年。赤也みたいな。なんであんなのがいいのか、ってか俺におすすめされてもどうしようもないし。俺、そっちの気ないんだけど
「ってかさあ、」
「ん?」
「普通彼氏の前で他の男の話するか?」
「うん。私はするよ?」
「じゃあ今度からはすんな」
「ブンちゃん、」
「…なんだよ」
「すき!」
ほらまた唐突。いきなりそんなこと言われたらたまんねーって。えへへー、と嬉しそうに笑うなまえにデコピンをしてやると一瞬きょとんとして、またふにゃりと笑った。デコピンされて何が嬉しいんだよ…。そう訊いてみれば、「なんか愛されてるなあって!」なんて言って抱きついてきた。ああもう、こいつ可愛いすぎだって。
「ブンちゃーん」
「何ですかー」
「わたしのこと好き?」
「…好きに決まってんだろい」
「えへへー、ブンちゃーん?」
めっちゃ好きやっちゅー話やで!
そう笑顔で言ったなまえに思わず俺も頬が緩んだ
てか何で関西弁?謙也くんに教えてもらったの!…だから他の男の話すんなって。ふふっ、やっぱブンちゃんめっちゃすき!
−−−−−−−
四天にハマり出した時に書いたやつ。只のバカップル(^q^)
090811