「なまえ、」
「ん?どうしたん?」
小さく、呟くように彼女の名前を呼んでみた。俺にしか聞こえへんくらい。せやけどなまえはちゃんと俺の声を聞き取って、にこりとやわらかい笑顔を向けてくれた。…ああ、幸せやなあ。そう思って俺も頬が緩んだ。手を伸ばして、なまえの細い身体を引き寄せる。いきなりのことになまえは多少驚いた顔をしたけれど、しゃあないなあ、なんて言って俺の腕の中におさまった。
「蔵は甘えん坊さんやな」
「なまえにだけやで?」
「ふふ、じゃあこんな蔵知ってるんはあたしだけなんや」
そりゃあ嬉しいなあ。口元に手をやって、女の子らしく笑うなまえ。そんななまえがどうしようもなく愛おしくなった。ぎゅう、と腕に力を込めてみる。なまえの首筋に顔を寄せる。なまえの、においがする。シャンプーのやろうか。ええにおいや。
「なまえ、」
「なに?」
「どこにも行かへんでな」
「…当たり前やん」
あたしのいる場所は蔵のところや。そう言ってなまえはまた微笑んだ。ああ、あかん。好きや。めっちゃ好きや。なあ、なまえ。俺なまえのこと好きすぎて死んでまうかもしれへん。どうしたらええ?
「そんなんないわ」
「…酷いなあ」
「やってまだ早いやん。あたしと蔵は年取って、しわしわになるまで一緒におるんやろ?そんで、いざお迎えが来たときに、ああ、あたしは年齢やなくて蔵が好きすぎて死ぬんやなーって思いたい」
その方が幸せやろ?
思わず泣きたくなった。嬉しかった。なまえの言葉。ほんま、なまえには適わへんわ。なんか、すっごい幸せもんやなあ。ちゃんと愛されてるんやなあ。今俺のそばにおるのがなまえでよかったわ。そう素直に伝えれば、それ言うんもまだ早いわ、なんて笑われた。そうやな、俺らはしわしわになるまでずっと一緒におるんやったな。まだまだ時間あるもんな。
「なまえ、俺から離れたら罰ゲームな」
「蔵から離れる気ないよ」
「…ほんま、かわええなあ自分」
そんななまえの唇を奪う。軽くリップ音をさせて離すとなまえが首に抱きついてきて。これはもっとして欲しいっていう合図。本人気づいてへんけどな。なあ、ずっと一緒におってな。俺にはなまえだけやねん。せやから、
その瞳に映すのは僕だけでお願いします。
謙也や財前と仲良く話しとって嫉妬したなんて秘密や。
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なにこのオチ(^Q^)
関西弁わからへんわ←
090719