「あ、今日から夏休みじゃん」


土曜日の朝。いつもの癖で平日と同じ時間に起きてしまった。携帯を開けば6時半。土曜日だからまだ寝ても大丈夫だ。私は文化部だから部活もないし。よし、寝よう。そう思ったときふと思い出して口からポロリ。ああ、私としたことが夏休みを忘れるなんて…!期末テストの前、約1ヶ月前からカレンダーで毎日夏休みまでの日数を数えてたのに!ああなんてことだ!


「かといって今日は予定ないし、」


やっぱり寝よう。もう一度決心して布団に潜り込む。昨日クーラー付けっぱなしで寝ちゃったから部屋が冷えていて結構寒い。なのに外からは蝉の鳴き声。なんともミスマッチな組み合わせだ。あー、うちってアイスあったっけ。たしか昨日お母さんが食べちゃってた気がする。私のスーパーカップを、しかもチョコチップ味を!せっかく残しておいたのに!はあ、暑いのにコンビニ行くのやだなあ。でもスーパーカップ食べたいなあ…。だれか買ってきてくれないかなあ。そんなことを頭の中でぐるぐる考えていたら、そばに置いておいた携帯が光り出した。学校あったからずっとサイレントにしてあったんだ。着信音なんて最後に聴いたのはいつだったか。覚えてないや。


「まったく誰だよ、こんな朝っぱらから…、」


ってブンちゃんですか。なにあの子、常識知ってんのかな。携帯を開いて相手を確認してみると、みっつ向こうの家のブンちゃんだった。ちなみにクラスも一緒。なんだかんだで一番仲良しなやつだと思う。てかなんでこんな早起きなの!あ、部活があるからか。ブンちゃんはあの全国常連立海テニス部だもんね。しかもレギュラー!女の子からの人気もハンパない。


「んー、めんどくさいから返事は後しよう。どーせ部活だろうし」


別にいいよね、うん。そう呟いてメールの内容も見ずに携帯を閉じた。そして目を瞑れば案外すぐに眠気は襲ってきて、私は本格的に二度寝状態にはいっていった。








「…、!」
「んー」
「おい、…!」
「んんー」
「起きろっての!」
「うっわ!なに?!ブンちゃん!」


何者かによってぐっすり眠っていた私の睡眠は妨げられてしまった。ほんとにぐっすり。きっと氷帝のジロー君にだって負けないよ。そうして重い瞼をあけてみれば機嫌の悪そうなブンちゃんとこんにちは。わあ、この顔は結構ご立腹のご様子ですね。


「あの、なぜブンちゃんがいるんでしょーか?」
「お前なあ…、」
「あれ、しかもジャージじゃない。部活は?」


やっと覚醒したらしい頭でブンちゃんを見てみればいつも見慣れた制服でもなく、はたまたジャージでもなく。正直に訊ねてみれば、終わったと一言。…え、終わったって?ちょっと待て、今なんじ…


「ええ!2時半?!」
「お前どんだけ寝てんだよ」
「嘘だあ!」
「んなわけねーだろい。つかお前メール見たよな?」
「は、え?」


メール…、メールですか。あ、メールってあれですよね。朝っぱらから送られてきたやつですよね。めんどくさいって返さなかったやつですよね。どう考えても。でもメールとブンちゃんが今ここにいるのとどう関係が………あ、




09/07/18 06:37
title:無題

今日の1時半に集合な!




痛いほどのブンちゃんからの視線を受けながら見たメールの内容はそれだけで、あとはendの英単語が書かれてるだけだった。…そういや今日約束してたんだった、ケーキ食べに行く。今思い出した…!



「ブンちゃん…、」
「……」
「ごめんね?その、すっかり忘れてた…」
「さいあく!」
「だからごめんってば!」








夏休みメール

この後ブンちゃんの機嫌を直すのに苦労したのは言うまでもない。




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丸井くんの出番少ない←


090718



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