「なまえー」
「んー?」
「パンツ見えとるよ」
「見んな死ね」


いきなりセクハラ発言をした白い頭に右手に握っていた携帯から視線を離さず、左手でそばにあった枕を投げた。しかしそれは標的には当たらず、後ろの壁にポス、と情けない音を立てて床に落ちた。私がスカートで体育座りをしているからこいつの角度からは見えてしまうんだろう。なにしろ私はベッドの上で、仁王は床に座ってるから。というかなんで休みの日なのにこいつは私の部屋にいるの?私とこいつは席が隣で、特に仲が良いわけでもない(って私は思ってる)。…他の子に比べたら仲良い方に入っちゃうんだけどね。というかだいたい私はこいつに関わりたくないんだよ


「避けんな」
「それは無理なお願いじゃな」
「……」
「そんな睨むんじゃなか。それより早よう足閉じんしゃい」


そう言って仁王は私の膝を掴んだ。なんでこいつはこうも馴れ馴れしいっていうか普通に触ってくるかなー。私、一応女の子。セクハラか


「……」
「…なに、」
「いや、このままガバッと開くのもありかと…」
「殴るよ?」
「……」
「ねえそこで黙んの止めてくれる?」


私の膝を掴んだまま黙りこくる仁王。視線は変わらず私の足。うわ、今こいつ絶対やらしいこと考えてる。仁王がこんな顔すんのはたいてい頭ん中がピンクなときだ。…そんな微妙な変化がわかるようになってきた自分が悔しい。そんだけこいつと一緒にいたってことだ。丸井もだけど。私は仁王や丸井みたいな目立つ(頭の色じゃない)奴らとは絶対関わりたくないって思ってたんだけど。だって変な誤解受けて女の子たちからは呼び出しくらうし、…まあ助けてくれるけど。とにかく平々凡々に学校生活を楽しみたかったのよ私は。なのに何の悪戯ですか神様。今この状況も、何なんですか


「におー、いい加減離せ」
「お前さん口悪すぎじゃ」
「あんたがそうさせてんだよ」
「俺はなんもしてないナリ」
「うぜえ、」
「口の効き方がなってないのう。女の子がそんな言葉言うもんじゃなか」
「お前はどこのじいさんだ」


古くさいのは真田で充分だよ。あ、こんなこと本人に言ったら確実に長々説教コース行きだな。……、言わないからいいけど。もし口からポロッとしちゃったときは幸村くんに助けてもらおう、うん


「真田も可哀想に…」
「いやいや、あんたらより酷くはないよ絶対」
「、案外可愛いのはいとるのう」
「いきなり話変えんなよ。てか見んなってんだろーが」
「なまえが見せとるから」
「見せてないです」


私がやらしい女みたいな言い方止めてよね。私は純粋な子ですよ。真っ白なんだから。というか相も変わらず私の膝を掴んでるこの人どうしようか。もうほぼ脚開こうとしてくるんですけど。パンツの柄までバッチリ見られましたよ。あははー。…笑い事じゃないわ。アホか、自分


「におーくん、におーくん」
「なんじゃ?なまえちゃん」
「…きしょっ。におーくんと私はこういう仲じゃないと思うんですけど」
「きしょってのもちゃんと聞こえとるからな」
「チッ」
「舌打ちも禁止。それにこれからそういう仲になればいいじゃろ?」
「…は、?」


それってどういう意味ですか。
仁王が言った言葉を聞いたのを最後に私の頭は停止したらしい。今なに言ったのこいつ、私言語能力低下した…?えー、どうしよ。日本語がわかんないや


「身体目当てですか仁王くん」
「なまえみたいな貧相な身体に興味ない」
「しね」


あんたは知らないだろうけど私って着やせするタイプだから脱ぐとすごいんだぞコノヤロー。…たぶん


「でもまあ、」
「…?」
「自分好みに育てるのも悪くないのう」
「え、」


そう言って妖しげに笑うやつに少しきゅんとしたなんて絶対嘘だ。そんなのまるで私が変態みたいじゃない。…どうしよう。ねえ神様、私は彼に捕まる運命なんですか?
そんなの、









逃げ切れる訳がない。

彼に捕まるまであと少し、


−−−−−−−

オチが見つかりませんorz

090601




「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -