※キャラ崩壊注意


「裸エプロンして下さいなまえ先輩」
「死んで下さい木之瀬くん」


昼休み。
食堂でご飯を食べようと思い教室から廊下に出たら笑顔で後輩―木之瀬梓くんが待っていた。
嫌な予感がして思わず教室に引き返そうとした私の手を木之瀬くんは掴み、その細身からは想像できない力で強引に「一緒にご飯を食べましょう。僕、先輩のために用意したんです」宇宙食を、と爽やかに言い屋上庭園まで私を引っ張った。
わざわざ彼から逃れ戻って食べるのも時間の無駄なので、しょうがなく宇宙食を食べていると案の定冒頭の変態発言を言い始めたのである。


「酷いです先輩!それと名前で呼んで下さいよ!」
「ごめん名前忘れた」
「笑顔で嘘吐かないで下さい。可愛いです。襲いたいです。ああ、なまえ先輩を味わいたいです」

笑顔で言う姿は一見すると可愛い可愛い後輩なのだが、実際はただの変態。しかもこの変態発言、どうやら私にだけらしい。
まさか、と思い月子ちゃんに普段変態発言をするのか前聞いたら「そんなこと言わないよ?」と、不思議そうに返された。


「話を戻しますが、先輩。裸エプロンを僕のために着て下さい」
「…お願いだからそんなこと真剣な顔で言わないでくれるかな!」
「可愛い後輩のためだと思って」
「思えない!」
「先輩のわからずやっ!!」
「頬を膨らませて可愛さアピールしたって駄目だから!もう先輩は木之瀬くんの将来が心配でたまりません…!!!」
「大丈夫です。先輩が僕のテクニックで快楽に溺れればすべて丸く収まります」
「収まらないよ!」


あとネクタイを緩め始めるな!そう咎めると渋々といった様子でネクタイを手際よく直す。…ほんと残念だこの子。容姿端麗だし頭も良いし運動もできるのに、なんでこんなに変態なの!


「で、裸エプロンなんですが」
「まだ続くのもう終わろうよその話」
「諦めませんよ!諦めたらそこで試合は終了しちゃうんです!」
「これ試合なの!?」
「ちなみに僕が裸エプロンに拘るわけはですね、なまえ先輩の裸エプロンには僕のロマンと夢が詰まってるからです!」
「聞いてない上に勝手に詰めるないでくれるかな!」
「僕の家の台所に是非とも立ってください!そして僕は先輩の白桃のようなお尻を舐め回すように見て実際に舐めて撫でて…ああ大丈夫です。心配しなくてもちゃんと先輩の奥ゆかしい胸は僕のスーパーゴッドハンドで揉みますから。ふふ、僕に不可能はありませんからね!育ちますよ、胸!なんてったって僕ですから!ああ!なんて素晴らしいんだろう裸エプロン!先輩の胸も大きくなるし僕の欲望も少しは満たされてまさに一石二鳥ですよ!だから毎日裸エプロンして下さい。僕のために!」
「…天気いいなあ」
「無視ですかなまえ先輩放置プレイですかなまえ先輩残念ですが放置プレイで興奮するほど僕はMではないので寧ろSです!本当に残念でしたねえええ!」
「とか言いつつズボンを脱ごうとするなあああ!」


何なのもう!誰かこの子にいい病院教えてあげて…!!この子自分のキャラを見失ってるよ!!!かくいう私も見失ってないですか!?

ガチャガチャとベルトを外す木之瀬くんを必死に止めていると天からの助けとばかりに昼休みが終わりを告げるチャイムの音が聞こえてきた。


「なまえ先輩、一緒にこのままサボっちゃいましょう」
「うん離して手を離して私帰るすっごい授業受けたい離して」
「ね?ちゃんとサボった責任取りますから」
「いやだから帰る」
「楽しませてあげますよ。初めてが野外なんて…ふふ、燃えますね」
「誰か助けてええええええ!」


冗談ですよ、そう言ってぱっと私の手を離し木之瀬くんは笑う。いやあの、本気の目してたよ、うん。


「しょうがないな…」
「…え!?裸エプロンをしてくれるんですか!?」
「違うから!!あのね……裸エプロンは断固断るけど…あーその、一緒にサボるくらいならいいよ」


今みたいに何かしようとしたら即帰るけど、そう付け足すと木之瀬くんはポカンとした顔をしたまま固まる。え、なんで固まるの。私の予想だと「先輩!ついにデレですか!?」くらいは返ってくると思ってたんだけど…あ、でも呆けた顔可愛い。いつもより少し幼く見える。
うんうん、後輩っぽい。いや後輩なんだけど。

まじまじと見つめているとハッとした顔をしていきなり木之瀬くんは顔を赤くする。なんだか混乱してる?珍しい木之瀬くんを見ていると前髪を弄りながら恥ずかしいそうに目を逸らされる。
おお、なんか新鮮。どうしようちょっと可愛いんだけど…!


「…なまえ先輩、ズルいです」
「え?何か言った?」
「先輩が好きで好きで仕方ないって思っただけです!今すぐキスしたいくらいに!」
「うん、落ち着きなさい」


目を閉じて迫ってくる頭を軽く叩けば可愛い可愛い後輩は幸せそうに笑った。




110204 柚子葉



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