※風丸が不安定。あまり描写は書いてませんが一応行為してるつもりなので注意。





風丸が、チームを抜ける。
いや、正確には抜けた。過去形だ。監督の了承はすでに得たらしい。
どうして、その疑問だけが頭の中を埋め尽くす。どうして、どうしてどうして。

「ねえ、風丸…」

どうして、なの。
真っ直ぐ、彼を見つめる。彼は辛そうに顔を歪めた。
カーテンに日光を遮られた室内は薄暗く、静かだ。わたしと風丸以外誰もいない。わたしと、彼だけの空間。わたしの目には風丸しか映っていなくて、風丸の目にも、きっとわたししか映っていない。
お互いしか見えないなんて、何て素敵なんだろう。今そんなこと思うだなんて可笑しいけれど。

「俺は、もう闘えないんだよ…」
「風丸、」
「俺は、円堂みたいに、お前みたいに強くはないんだよ!」

辛そうに顔を更に歪めてそうぶつけてきた風丸に、わたしはただ彼の名前を呼ぶことで応える。まるでそれしか術を知らないかのように。
だって、わたしにはそれくらいしかできないから。彼の言葉と、痛みを受け止めることしか。彼自身を受け止めることしか、わたしには出来ない。

「俺は、俺は…ッ!!」
「かぜまる、」

もっと強くなりたい。もっと、もっと。
ねえ痛い、痛いよ。痛いくらいに伝わってくる。
お世辞にもあるとは言えないわたしの小さな胸の形を、彼の手が歪ませる。同時に顔も歪んだ。…痛い。
呼吸も、言葉も奪われる。もう名前を呼ぶことさえ許されない。何度も、何度も、奪われる。

「もう、勝てる気がしないんだよ!!」
「っ…!」

今度は言葉と一緒に綺麗な指を受け止める。わたしのナカに受け入れた。
このまま、全て風丸に奪われてしまう気がした。それもいいかもしれないと思った。こうやって、唇を重ねて、身体も重ねて、彼の体温を存在を確かめられるのなら。甘い言葉を囁かれなくたって、わたしはいい。こうして貴方の痛みを受け止めることが出来るのなら。

「いい、よ、風丸…」

ぐちゅり。そんな音がした。耳が音を拾い、脳みそがそれの正体を理解する前に痛みがやってきた。今まで一番痛い。けれどすぐに快感に変わる。わたしはこの痛みを知っている。だからわかる。想像したらお腹の奥の方がきゅんとした。

「ほんとに馬鹿だな…、お前は…」

ごめん。ありがとう。

ほら、気持ちいい。痛くないよ。えへへ、ぜんぶ受け止めた。

「さよなら、」

最後に、ぬくもりと辛そうな微笑み。それらを肌やら、目やらの感覚器官から受け取って、わたしの意識は沈んでいきました。


ユアー ペイン



アニメ45、6話を見た勢いでやらかした。

101218 杏雨



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