「……なにこれ」
「キッド君」
「は、」
「ほら、後半出番なかったから…」


ああ、なにそんなことか。
思わず口からこぼれそうになった言葉をぐっと押し込めた。私とマカの隣でうつ状態になっているやつにそんなことを言ったら今よりもっとウザくなること間違いなしだ。やだよこんなこと当たっても嬉しくないよ。だいたい何だ、この落ち込みようは。最終回がほぼマカばっかりだったのなんて当たり前じゃない。マカが主人公なんだからさ。それにパートナーのソウルでさえあんだけしか出番なかったんだからあんたの出番がある訳ないでしょう、キッド。…だいたいさあ、最終回の一個前?だったっけ?あんたが覚醒しちゃうのが悪いんだろーが。あんたの見せ場は覚醒したことによって終わったんだからさ。それともなに?


「あんたは自分中心に回ってるんだとか思ってんのか?」
「……」
「んな訳ねーだろ。マカが中心だ。だいたいあんたが出る話はいつもマカが出ないってどーゆーことですかー」
「ちょっとなまえ、話それてるから!ってか余計に落ち込ませてどうすんの!」


あら、やってしまったわ。気づいた時にはすでに遅し。さっきよりもっとうつ状態、イコールもっとウザくなったキッドに目をやる。ああもうめんどくさい。なんなのこいつ。そのうちキノコはえてくんじゃないの。あ、私はオッケーよ。だってキノコ好きだもん。それが食べれるキノコだったらね。てかさー、私駄目なんだよね。こういうウジウジしてるやつ。イライラすんの。最後に出番無かったからってどーってことないだろ。んなのブラック☆スターだって同じだろ。まあ、あれは単純なおばかさんだから気にしてないだろうけどね。


「なまえ…、ちょっとかわいそうなんじゃ、」
「ハッ、」
「ぐす…」
「(鼻で笑った…!)」
「オラ、お前それでも死神様の息子か。しっかりしろこのヘタレ」
「(こえぇええ…!)」


ああもう、ほんとになんなの。あんたまだ一応レギュラーなんだからいいでしょうに。しかもヘタレだけど死神様の息子とかいういいポジションじゃん。ヘタレだけど。あ、大事なことなんで二回言ったよ。ほんと、こんなやつと組まされてるリズとパティがかわいそうだわ。まあ、ふたりはふたりでこいつで遊んでる感じがしないでもないか。というか扱いに馴れてるよね。でもさあ、こんなのでも強いんだよね。闘ってる間もシンメトリー云々はうざいけど。一応死神様の息子だし?最後もマカたち庇ってたみたいだし。



「まあ、一応お疲れ様」
「なまえ…!」
「でもいい加減そのうざい性格どうにかしてね」
「うわああぁん!」
「キッド君っ!」


余計な一言、とはまさにこのことだったらしく。せっかく立ち直りかけたキッドをまた鬱状態にさせてしまった。そんなやつをマカが必死になだめているのを見ながら、ため息と一緒に口元が緩んでしまったのは何故だろうか。













090628



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