※撮影パロ




「はいカット!…オッケー、お疲れ様!」


カチンという音と監督の声がして、撮影現場にわああっと歓声がおこった。パチパチというスタッフの拍手の音に、誰かの口笛。あちこちでおつかれー、なんて声がする。広い撮影現場はたくさんの音に包まれていた



「お疲れ様、マカちゃん!」
「俺様の次に輝いてたぜ!」
「ぐふふふー!おつかれさま!」


ほんとうに終わっちゃった。
ふう、とため息を吐いて、スタッフさんからタオルを受け取ると、椿ちゃん、ブラック☆スター、パティがこちらに来て、それぞれそう口にした



「まったく、お前には感心するよ、マカ」
「うむ、素晴らしかったぞ」


3人のすぐ後に、同じくこちらに来たリズちゃんとキッド君


「そんなことないよ。みんなの方がすごかった」


いつの間にか私を囲むようにしていたみんなに、そう言って苦笑した。ほんとうに、私はまだまだだ。でもみんなとこうしていられて、少しは自信がついた気がする。みんなのおかげだ。そして、ずっと一緒に頑張ってきたあいつのおかげでもあるんだ





「でも、これでこのメンバーで撮影するの最後だったんですよね…」
「ああ、なんだかさみしいな」


ぽつりと呟かれた言葉に、ぎゅうっと、胸が締め付けられた。最後だったんだ、みんなと、あいつと、こうやっていられるの。ほんとうに終わっちゃったんだ…。そりゃあこうやって終わりが来ることくらいわかってた、始まれば終わるの。わかってた、はずなのに。なのになんでこんなにも辛いの?悲しいの…?



「マカちゃん…?」
「っ…!」
「どうした、?」
「こうやって、みんなで…、いられるの、これが最後なんだって思ったら…!」
「マカ…、」
「…マカちゃん」


ぽろぽろ、いつの間にか私の目からは涙が溢れていて。いきなり泣き出した私を見て、みんな慌ててる。ごめん、けど私嫌だよ


「嫌、なの…!みんなと、あいつと離れるの、」
「バカじゃねえの」
「!、ソウル」


聞き慣れた声に、顔を覆っていた手を離して顔をあげてみれば見慣れた銀髪。バカじゃねえのなんて言葉を口にした割にはその表情はすごく優しくて、今度はきゅん、と胸が高鳴った。それと、頬に何かが伝う感覚


「バカって、なによ…!」
「マカのことだけど?」
「っ…!だって、」
「なあマカ、俺たちが離れるとか絶対ありえないから、」
「!」


だって、俺たちずっとパートナーだろ?
そう言って笑った彼にまた涙腺が緩んでしまって。ぽろぽろ。でもこれはさっきとは違う。悲しいんじゃなくて、嬉しい




「そうる、」
「ん?」
「すき、」
「…知ってる」
「ばか」


ぎゅうっと抱きついて、彼だけに聞こえるように呟いた。…でも周りの椿ちゃんたちがくすくすと笑ってたからきっと聞こえてたんだと思うけど















(ずっと一緒)(もちろん、もっと未来も)
end.


090524 杏雨




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