籠ノ蝶
7:念願




「晋助、何をしているんでござるか?」

「…あ?何もねェよ…」

「そうでござるか…それより…近頃何やら晋助を探し回っている奴が居るらしい」

「…どんな野郎だァ…?」


それが…と万斉から渡された写真に俺は目を疑った。


「女なんでごさるよ」

「…」

「どうする?」

「……テメェは何もするな。」

「…知り合いでござるか?」

「…かも知れねェ…」


煙管を吸いながら月を見やる。

もしあの写真の女が椿だったら俺はどうすりゃいい…?

今更迎えに行った所で俺は椿を幸せには出来ねェだろう…。

それは椿も分かっているはず…なら何故俺を探す必要がある?


「晋助、聞いているのか?」

「っ…なんだァ…?」

「拙者はその女に会うと言ったのでござるよ」

「…テメェ…さっきの聞いてたよなァ…?」

「聞いた上で言っている」

「…好きにしろォ…」


部屋を出て行った万斉に舌打ちをしながら煙管の火種を落とす。

昔のままの想いを閉じ込めて血が滲むほど俺は拳を握り込んだ。







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