6:決意
あれから何年経っただろう。
年期は開けて誰の身請けも断って私は色街を去った。
何年も経った今でも彼の事だけは忘れられない。
色街を去った後、私は彼の事を探した。
分かった事は今になって言われる攘夷戦争に彼は参加していたという事と…彼は…消息不明という事…。
『晋助さん…』
消え入りそうな小さな声で彼の名を呟けば仕事に向かう。
街並みも随分変わった…街を走るのは車…そして横暴な態度で街を練り歩くのは天人…。
この街も昔の面影はもうない。
「これ貼っといてくれる?」
『あ、はい』
「悪いわね」
ただこんな変わってしまった街でも仕事は楽しい。
何も知らない私に一から教えてくれた奥さんには感謝している。
『高杉…晋、助…?』
「テロリストなんですって…攘夷浪士よ。昨日警察の方が…椿ちゃん?」
手配書に載った見覚えのある姿と彼の名前に気付けば涙が零れた。
無事だった…生きていてくれた…。
「椿ちゃん…!」
『…!あ、す…すいません』
「知り合い…なの?」
『いえ…ただ好きな人に似ていて…』
「あのずっと待っているって言ってた人?」
『えぇ…でも、人違いです』
人違いな訳がない…間違いなく彼だ。
昔とは雰囲気が変わっているけれど…。
その日、私は再び彼を探す事を決意した。
〆