5:約束
椿は小さく頷いた。
守れるかも分からねェ約束に…。
表情からどんな想いがあるのか分からなかったが言った俺が約束を守れる気はしていなかった。
「…はぁ…」
「溜め息など吐いてどうかしたのか?」
「…別に。何もねェよ…」
ヅラを見やればお前がその調子では士気が下がるだろうと苦笑いを浮かべられた。
戦争真っ最中…もしかしたら明日死ぬかも知れねェこの身で…。
「あんな馬鹿な約束…」
俺の独り言にヅラは反応する事なく部屋を出て行った。
「…悪ィ」
椿を想って呟いた言葉に俺は目を閉じる。
きっと椿は優しい奴だから俺の前で首を横に振れなかったのかも知れねェ…。
もし…もしも約束通り俺が行動した時椿はどんな顔をする…?
泣くだろうか
笑うだろうか
怒るだろうか…
椿の年期が終わる一年後…
俺は…。
〆