籠ノ蝶
0:籠ノ蝶
遊女屋、芸者屋、待合い…
此処は小さな色街。
私はこの小さな色街の遊女の一人。
私の年期は後三年程ある。
街の雰囲気は以前とは少し変わったように見える。
客の一人が言っていた。
街の外では攘夷の声が高まっていると…。
武具の流通は以前より増し、こんな小さな色街ですら潤っている。
嫌でも籠の中からでさえ外の時が動いている事が分かるそんな時代…。
『ようこそいらっしゃいんした…どうぞごゆるりと』
年期を終えるまでの期間、私は今日もこの街で生きる。
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