15
『あー…ヒマ。』
自室で信女とゴロゴロしながら呟く。
『今日なーんかあった気がするんだけど…』
「何か約束…?」
『んー…そうだったような…あ!いや、あれは違うわ。うーん…』
脳裏に思い浮かんだのは先日の異三郎とのやりとりだったけど、アレは違うわ。うん。
『ま、いいや。信女とゴロゴロする事に集中しよう、うん。』
「…いいの?」
『いいの、いいの。はい、ゴローン』
クスクス笑って信女を抱き締めるように寝転べば私は目を閉じた。
スパン…!!
襖の開く音に目を覚ます。
『ん…?あれ、異三郎…?』
「おや、失礼。エリートとした事が起こしてしまいましたか。」
そう言いながら私達の姿を写真を撮ってる異三郎に眉を寄せる。
『何…撮ってんのよ…』
「いえ、つい。お気になさらず」
表情を全く変えずに携帯にしまう異三郎に若干呆れながら体を起こした。
『で、なんか用?』
「…いえ、私はエリートですから全く気にしてはいないのですが」
『?』
はっきりしない異三郎に首を傾げて髪を整える。
「15時に茶屋で待っていると伝えたはずなのですがね」
『…私、気が向いたらって言わなかった?』
「えぇ、聞きました。」
『なら行かなくても良くない?』
「というのは?」
そう問いかける異三郎に小さく笑って信女の髪をそっと撫でてから立ち上がった。
(だって、約束してないから)
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