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『土方さん、行きましょうか』
「ん?あぁ、行くか」
いつもの見回りの時間。
今日は土方さんと二人で見回り…他の隊士は別の仕事で出払ってる。
『見回りとか言っても大した事起きないですよねー…』
「んなにしょっちゅう大した事起こってたまるかよ…」
『いやまぁそうなんですけどねー?』
平和一色の町を歩きながらぐっと伸びをする。
土方さんと談笑していれば土方さんによーく似た銀髪が視界に入った。
『お、万事屋の旦那発見ー』
そう指差せば今度はピクリと土方さんの顔が引きつったのが視界に入る。
踵を返そうとする土方さんを止めて引き摺る勢いで歩いていく。
「て、テメッ…」
『ダメですよ、土方さん。私情挟んでルート変えちゃ…』
「う…」
ズルズルと歩いていれば万事屋の旦那と視線が合う。
「ん?あれ酢昆布ちゃんじゃーん」
『こんにちは、万事屋の旦那』
仕事頑張ってんねー。なんて言いながら旦那は偉い偉いと私の頭を撫でる。
『子供扱いは止して下さいよ、旦那』
「もー、いつも言ってんじゃん。銀さんって呼んでよ」
『えー、なんか今更な気がするじゃないですかー。所で旦那は変わりないですか?』
土方さんがイライラしながら煙草を吹かして居るのを横目に見ながら旦那と話して居ればその様子に旦那がニヤリと子供が悪戯を思い付いたような顔をする。
あー、要らないこと考えてんな…旦那…。なんて思ってたら急に抱き寄せられた。
『え、えーっと…旦那?』
「仕事終わったら銀さんとデートしねぇ?」
「ッ…!」
顔近…つーかよく見るとキレーな顔してんな、この人…。
なんて思ってたら今度は土方さんに引っ張られてすっぽり土方さんの腕の中に収まる。
「ダメだ。」
『えーっと…』
どうしたものかと苦笑いすれば旦那はまたニヤニヤして土方さんの顔を覗き込んだ。
「テメェに聞いてねぇよ、土方クン?それとも答える権利がお前さんにあんの?」
「ッ…」
さてどう答えんのかな、なんて考えてたら土方さんは顔を引きつらせて笑いながら口を開いた。
(保護者、ですから)
((なんで敬語?))
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