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そわそわそわそわ……。
隣に居る私にまで伝染するんじゃないのかってぐらいに隣でそわそわしてる。
付き合い始めて半年ほど経った訳だけど彼は思ってた以上にヘタレと言う奴だった。
付き合って三ヶ月でやっと手を繋いだなんてヘタレな話をたまに聞くけど、彼と付き合うまではそんなバカな話あるわけないだろうと私も思っていた。
…だけど彼と付き合ってそんなバカな事が私の身に起きたのだから驚きだ。
いつもの彼はちゃらんぽらんでいて女関係もちゃらんぽらん。
そんな付き合う前のイメージを180度引っくり返されたんだから私はただただ驚くばかりだ。
『銀時…?』
ビクッと大袈裟な迄に肩を揺らした彼に苦笑いを浮かべてしまう。
イメージを180度引っくり返されても、彼の事を嫌いになる所か前より好きになってしまったんだから私もバカだ。
だけど、今日は久々のデートなわけで…会ってからそわそわされっぱなしなのは辛いものがある。
「ど、どどどうした!?」
『どうしたって…銀時こそどうしたのよ。今日ずっとそわ…じゃなくて上の空じゃない』
「え!?いや、その…」
と言葉を詰まらせた彼に笑いそうになる。
薄々勘づいていたものの…こうもあからさまに緊張されるとどうしたものかと悩む。
緊張からか少し震えた彼の手が私の手に重なる。
多分、彼は今日なにか関係が進展するような事をしでかそうとしていて、どう行動に移すかを悩んでいたためにそわそわしていたのだろう。
『(でも……)』
先程から目が泳ぎまくっている彼に私も焦れったくなってくる。
「…っ…酢昆布…」
『…銀時…』
繋がれた手を軽く握って私は彼に唇を重ねた。
「っつ〜〜!!」
ぶわっと顔を真っ赤にした彼に思わず吹き出せば彼は見開いた目をグルグルさせながら叫んだ。
(し、し…死ぬぅぅううう!!)
(はぁ…キスじゃ死ねません )
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